GESHEM INDUSTRIAL COMPUTING GUIDE
産業用PCのカスタマイズ要求仕様書:標準・オプション・個別対応の切り分け
想定読者と結論
対象は、自社装置向けに産業用PC、パネルPC、ハンディターミナルの構成変更を検討する製品企画、電気設計、調達、品質保証担当者である。
結論は、要望を「既存選配」「設定変更」「個別設計」に分け、各項目に検証方法と責任範囲を付けることだ。カタログに選択肢があることと、希望する組合せが量産可能であることは同義ではない。
要件入力
| 分野 | 入力すべき条件 | 曖昧な依頼の例 |
|---|---|---|
| 演算 | CPU負荷、メモリー使用量、ストレージ書込量 | 「高性能にする」 |
| I/O | 信号種別、ポート数、絶縁、コネクター、同時使用 | 「COMを増やす」 |
| 電源 | 入力範囲、瞬停、逆接、突入、接地 | 「24 V対応」 |
| 機構 | 外形、取付穴、開口、ケーブル曲げ、放熱 | 「同じ場所に入る」 |
| 表示・操作 | サイズ、解像度、輝度、手袋、濡れ手 | 「見やすくする」 |
| 通信・読取 | Wi-Fi、セルラー、RFID、NFC、バーコード | 「無線全部入り」 |
| ソフト | OS版、言語、BIOS、ドライバー、イメージ | 「Windows搭載」 |
選配と個別設計の境界
CPU、メモリー、ストレージ、映像出力、シリアル、無線、表示輝度、読取モジュールなどは、対象製品のPDFで候補が示される場合がある。ただし、選択可能な項目でも、同時搭載、熱設計、アンテナ、認証、OSドライバーの制約を受ける。
ロゴ、筐体、コネクター位置、BIOS機能、OSイメージ、梱包などは、製品ごとの実現性確認が必要である。全製品共通の標準対応とはみなさない。
判断の手順
- 要望を機能ではなく、数値、接続先、使用環境、合否判定で記述する。
- 既存PDFの選択肢に一致するかを確認し、一致しなければ個別設計候補に分ける。
- 組合せ制約、最小数量、試作費、金型・治具、リードタイム、知的財産、保守期間を確認する。
- 試作BOMと図面を凍結し、電気・熱・機構・ソフト・規制の評価計画を承認する。
- 量産承認後も、変更通知と出荷構成の追跡方法を合意する。
要求仕様書の合格条件
- 対象型番とベース構成が一意である
- 標準、オプション、個別設計が区別されている
- 未確定項目に責任者と期限がある
- 図面、BOM、BIOS、OSイメージの版を追跡できる
- 規制試験で使う最悪条件の構成が定義されている
- 試作と量産の差分を再評価する条件がある
受入条件と限界
受入は外観だけで終えず、承認図、BOM、主要部品、I/O、電源、温度上昇、OSイメージ、再起動・復旧を確認する。無線や電源を変更した場合は、日本向けの法令・表示・証拠への影響も再確認する。
本稿は、筐体、BIOS、ロゴ、OS、認証、少量生産などの実施可能性を保証しない。可否は対象型番、数量、構成、地域、時期によって変わる。
FAQ
PDFに「オプション」とあれば必ず選べますか
必ずとは限らない。組合せ、部品供給、最小数量、ソフト対応、地域別規制を含む個別確認が必要である。
試作が動けば量産承認できますか
動作確認だけでは不十分である。量産BOM、熱、電源、機構、公差、長時間運転、復旧、変更管理を確認する。
認証済み部品を使えば完成品の確認は不要ですか
不要とは言えない。実装、筐体、電源、ケーブル、アンテナ、ファームウェアで適用範囲や試験条件が変わり得る。
出典
選配可否は、各製品ページから参照できる公開仕様書と個別見積BOMで確認する。
次のアクション
要望一覧に「標準/オプション/個別設計/未確認」の列を追加し、未確認項目を残したまま価格・納期・認証を確約しない。